セミナー情報
リン酸化プロテオーム解析技術を利用した植物のアブシシン酸シグナル伝達系のネットワーク解析
演題 | リン酸化プロテオーム解析技術を利用した植物のアブシシン酸シグナル伝達系のネットワーク解析 |
講演者 | 梅澤 泰史 准教授(東京農工大学大学院) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2012年7月30日(月曜日) 16:00~17:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | アブシシン酸(ABA)は、主要な植物ホルモンの一つであり、乾燥や塩などの環境ストレス応答に必須であるとともに、種子成熟などの発生・成長過程にも重要な役割を持っている。ABAのシグナル伝達は、受容体(PYR/PYL/RCAR)、プロテインホスファターゼ(PP2C)およびプロテインキナーゼ(SnRK2)の3つの基本因子から構成されており、SnRK2のキナーゼ活性が厳密に制御される形となっている。したがって、SnRK2がシグナルの出力を担っていると考えられるが、SnRK2の標的タンパク質(リン酸化基質)についてはごく一部しか明らかになっていない。そこで、我々は SnRK2の基質を探索することを主な目的として、リン酸化プロテオーム解析を行った。この解析で重要なポイントとなったのは、SnRK2の三重変異体の存在である。この変異体ではABA応答がほぼ全面的に失われており、SnRK2によるリン酸化も消失していることが予想された。そこで、リン酸化プロテオーム解析で得られた5000個以上のリン酸化ペプチドの定量データを野生型と変異体で比較したところ、変異体で有意にリン酸化が減少したタンパク質を35個同定した。これらをSnRK2の基質候補として、現在機能解析を進めている。本講演ではその中から数例を紹介し、ABAシグナル伝達との関わり等について議論する。 |
問合せ先 | 植物細胞機能 橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp) |