セミナー情報
酵母RNAポリメラーゼIIに よる転写の一時停止機構
演題 | 酵母RNAポリメラーゼIIに よる転写の一時停止機構 |
講演者 | 今清水 正彦 博士(米国国立癌研究所 Mikhail Kashlev研究室) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2012年5月24日(木曜日) 13:00~15:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | RNAポリメラーゼII(RNAP II)は、新生RNA鎖伸長反応中にDNA上を後戻りして反応を一時的に止めることがある。この一時停止は、DNA配列依存的に起こり、転写調節機構としての機能することが知られているが、その詳しい仕組み は明らかになっていない。私達は、あるDNA配列がRNAP IIの前向き運動の障害となり、配列依存的な一時停止の原因であることを生化学的方法で明らかにした。 この配列依存的な一時停止は1秒以下と極めて短く、今まで予測されながらも検出が困難であった。私達はTFIISのRNA切断活性を無くした変異体が短時間一時停止したRNAP IIを1bp後戻りさせることを見いだし、一時停止を増幅させて検出す ることに成功した。さらに、このTFIIS変異株によるRNAP IIの1bp後戻りの促進が、細 胞にとって致死的であることを遺伝学で突き止めた。一時停止の時間の長さは、TFIIS catalytic loopの柔軟性に依存し、前向き運動の障害となるDNA配 列は10 -15 bpで決定されていた。これらの分子ツールを様々な組み合わせで使う と、あるゲノムDNA上で異なる時間RNAP IIの鎖伸長反応を止めることができるため、ゲノム部位特異的かつ定量的な遺伝子発現の調節が可能となることから、応用的な見 地からも非常に興味深い。時間が許せば、上記に加え、大腸菌RNAポリメラーゼによる転写伸長の逆反応pyrophosphorolysisに おける新しい知見を紹介致します。 |
問合せ先 | 細胞機能システム 大島 拓 (taku@bs.naist.jp) |