NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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発芽後の成長および葉のサイズ制御における H+- 輸送性ピロホスファターゼ(H+-PPase)の役割

演題 発芽後の成長および葉のサイズ制御における H+- 輸送性ピロホスファターゼ(H+-PPase)の役割
講演者 Dr. Fejani Ali(東京学芸大学 自然科学系生命科学分野)
使用言語 日本語
日時 2011年12月22日(木曜日) 15:00~16:00
場所 大セミナー室
内容
植物の葉のサイズ決定には、細胞分裂と細胞伸長の個別の制御に加え、最近ではこの二つの過程を器官全体で統合する仕組みの存在もわかってきた。それは補償作用という現象に示される。補償作用とは、葉原基で細胞増殖活性の低下が起きた場合、それを引き金として起こる細胞の異常肥大現象のことで、器官のサイズ制御を理解する上で、これが誘導される仕組みの解明は重要な手がかりになると考えられる。そこで私は、補償作用を示すシロイヌナズナの様々な変異体を解析し、その原因遺伝子の同定や機能解析を進めている。
 
本セミナーの前半では、補償作用の細胞レベルでの動態を、葉の発生に沿って解析した結果について簡単に説明し、補償作用が直感で思うほど単純な現象ではないことを示す(Ferjani et al., 2007)。続く後半では、そもそもどのようなときに補償作用が起きるのかについて解析を進めた結果、シロイヌナズナの初期生育において液胞膜局在型H+輸送性ピロホスファターゼ(H+-PPase)の機能は極めて重要であるということが、思いがけず明らかになったので(Ferjani et al., 2011)、その経緯について紹介する。

参考文献:
Ali Ferjani, Gorou Horiguchi, Satoshi Yano, Hirokazu Tsukaya (2007) Analysis of leaf development in fugu mutants of Arabidopsis reveals three compensation modes that modulate cell expansion in determinate organs. Plant Physiol. 144: 988-999.
Ali Ferjani, Shoji Segami, Gorou Horiguchi, Yukari Muto, Masayoshi Maeshima, and Hirokazu Tsukaya (2011) Keep an eye on PPi: The vacuolar-type H+-pyrophosphatase regulates post-germinative development in Arabidopsis. Plant Cell. 23: 2895-2908.
問合せ先 植物科学研究教育推進ユニット
深尾 陽一朗 (fukao@bs.naist.jp)

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