NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

分子発生生物学講座の熱田勇士さんが国際分化学会国際会議において「学生最優秀ポスター賞」を受賞

2010年11月15日から18日にかけて、奈良で開催された国際分化学会国際会議において、分子発生生物学講座 の熱田勇士さんが「学生最優秀ポスター賞」を受賞しました。学生最優秀ポスター賞とは、国際分化学会のポスター発表の中から、最も優れた研究発表(1件のみ)を選んで表彰するものです。

熱田勇士さんの受賞コメント

【写真】熱田勇士さん我々は、からだの中で「管」構造がどのようにつくられるのかについて興味を持ち、トリ胚をモデルとして研究を行ってきました。今回、私の発表が国際分化学会において学生最優秀ポスター賞を受賞できたことは、当講座の皆様や大学からご支援いただいたおかげです。感謝申し上げます。発表に関しては、発生学とは少し違った分野の研究者も集う学会であることを考慮し、研究の意義、アプローチ、新規性についてシンプルにプレゼンテーションしたことが受賞できた一因だと考えています。今後、さらによりよい研究を進め、国際的に通用する研究成果を挙げていきたいと思います。

受賞内容

「Tubular extension and cell epithelialization are coordinately regulated and influenced by adjacent tissues (管の伸長と上皮化は、管の周囲組織により制御される)」

私たちのからだにある多くの器官(例えば腎臓、肺など)には、管状の組織がぎっしり詰まっています。それらの管状組織は上皮細胞によって構成され、物質の運搬・吸収などの重要な役割を担っています。また管形成過程の破綻は、個体発生に重大な支障を来すだけでなく、がん転移の引き金にもなります。しかし、個体発生の過程において、実際に管構造がどのように形成されるかについては不明な点が多いのが現状です。今回、私たちは「ウォルフ管」という組織を管形成のモデルとして注目しました。私たちが独自に開発したウォルフ管細胞の遺伝子操作法と生体内ライブイメージング解析や、トリ胚での顕微操作を駆使した結果、ウォルフ管の形成がその隣接する周囲の組織によって、厳密に制御されていることが見えてきました。今後は周囲組織が示す作用の分子実体を明らかにし、からだの中で管ができる仕組みの理解に一歩でも近づきたいと考えています。

注)ウォルフ管‥‥腎臓形成の初期過程にみられる、1層の上皮細胞から成る管組織。ウォルフ管は初期発生過程において、胚の前後軸に沿って直線状に伸長する。

(2010年12月10日掲載)

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