研究成果の紹介
植物成長制御研究室に在籍されていた荻田伸夫さんがThe Plant Journal誌における「TPJ 2018 Outstanding Student Paper Awards」を受賞
植物成長制御研究室に在籍されていた荻田伸夫さんがThe Plant Journal誌における「TPJ 2018 Outstanding Student Paper Awards」を受賞しました。
受賞のコメント
この度、自身が筆頭著者としてまとめた論文を「Outstanding PhD‐authored Original Research Article」としてThe Plant Journal誌より表彰していただきました。このような形で研究内容をご評価いただけましたことを大変嬉しく光栄に存じます。研究は試行錯誤の連続でしたが、論文の完成まで根気強くご指導下さいました梅田正明教授、高橋直紀助教、奥島葉子博士に心より感謝申し上げます。加えて、本研究を支えていただきました岐阜大学の山本義治教授や時澤睦朋博士をはじめ、本学の西條雄介教授や晝間敬助教、愿山郁博士、理化学研究所の関原明博士など多くの共同研究者の皆様に深く感謝申し上げる次第です。また、在学中に温かく見守り応援して下さった梅田研究室の皆様にもこの場を借りて御礼申し上げます。これからは本学で学んだこと活かし、世界のライフサイエンスの発展に貢献できる人材に成長して参る決意です。
受賞内容
植物のDNAは、通常の複製過程に加えて、活性酸素や紫外線、土壌中に含まれるアルミニウムやホウ素などに曝されると損傷を受けることが知られています。そして以前までに、DNA損傷が起こると「SOG1」と呼ばれる植物特異的な転写因子が活性化し、DNA修復や細胞周期の停止、細胞死などの応答を誘導することが明らかにされていました。しかし、この時にSOG1がどのような遺伝子を制御しているのかについては未解明でした。私達は、SOG1によって直接転写誘導される146個の遺伝子を同定し、それらがDNA修復や細胞分裂の制御、病原菌に対する防御応答などを制御していることを明らかにしました。これらの研究成果は、DNA損傷に対する植物独自の応答機構の解明に大きく貢献しました。
本賞は、2018年にThe Plant Journal誌に掲載された、学生が筆頭著者である論文の中から、引用回数やダウンロード数などの指標をもとに、編集委員による選考を経て、最も価値のある論文に贈られます。
関連資料
【SEB‐Wiley‐TPJ awards for outstanding papers published in TPJ in 2018】
https://doi.org/10.1111/tpj.14313
【原著論文】
Ogita, N., Okushima, Y., Tokizawa, M., Yamamoto, Y.Y., Tanaka, M., Seki, M., Makita, Y., Matsui, M., Okamoto‐Yoshiyama, K., Sakamoto, T., Kurata, T., Hiruma, K., Saijo, Y., Takahashi, N. and Umeda, M. (2018) Identifying the target genes of SUPPRESSOR OF GAMMA RESPONSE 1, a master transcription factor controlling DNA damage response in Arabidopsis. Plant J. 94, 439–453. https://doi.org/10.1111/tpj.13866
【植物成長制御研究室】
研究室紹介ホームページ: https://bsw3.naist.jp/courses/courses105.html
研究室ホームページ: https://bsw3.naist.jp/umeda/
(2019年04月16日掲載)