NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

改良版蛍光タンパク遺伝子を導入した「光るペチュニア」の開発に成功
~黄色フィルターなしでの鑑賞を実現~

改良版蛍光タンパク遺伝子を導入した「光るペチュニア」の開発に成功
~黄色フィルターなしでの鑑賞を実現~

NECソリューションイノベータ株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 執行役員社長:杉山 清、以下NECソリューションイノベータ)、国立大学法人千葉大学環境健康フィールド科学センター(三位 正洋名誉教授の研究グループ 千葉県柏市柏の葉)および国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学は、新たに開発した黄緑色蛍光タンパク遺伝子を導入した観賞花(ペチュニア、以下「光るペチュニア」)の開発に成功しました。 

加藤 晃准教授のコメント

我々は一貫して「植物へ導入した遺伝子を高発現できる基盤技術開発」を行ってきました。今回の「光るペチュニア」の開発を目標として研究を行ってきたわけではありませんが、我々の基盤技術を活用して「光るペチュニア」が開発されたことは光栄なことです。今後も植物の形質改良や有用タンパク質生産の具現化に貢献できる新たな基盤技術の開発を引き続き行っていきます。

【概要】

NECソリューションイノベータ株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 執行役員社長:杉山 清、以下NECソリューションイノベータ)、国立大学法人千葉大学環境健康フィールド科学センター(三位 正洋名誉教授の研究グループ 千葉県柏市柏の葉)および国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学は、新たに開発した黄緑色蛍光タンパク遺伝子を導入した観賞花(ペチュニア、以下「光るペチュニア」)の開発に成功しました。

「光るペチュニア」は、目に見えない紫外光下で効率よく蛍光を発するため、2013年に産学官連携で開発した、蛍光タンパク遺伝子を導入した「光る花」では可視光下で観賞する際に必要だった黄色フィルターが不要になりました。これにより手軽に観賞することが可能になりました。

今後、蛍光タンパク質の改良を始めとするバイオ領域の研究を深め、その利活用を通じて、より豊かな社会の実現に貢献していきます。

       室内蛍光灯下                      紫外光下

【背景】

NECソリューショイノベータは2006年に富山湾深海に生息する海洋プランクトン(Chiridius poppei)が持つ蛍光タンパクの遺伝子情報を明らかにし、2013年には産官学連携により、この遺伝子を観賞花であるトレニアに組込み、「光る花」を開発しました。

しかしながら、トレニアに組み込んだ蛍光タンパク質を効率よく光らせるためには、青色の可視光線を照射する必要があり、照射される光の色と近い色相にある黄緑色に蛍光するため、肉眼では分かりづらい状況にありました。

このため、「光る花」の鑑賞にあたっては、可視光線をさえぎるため青色の補色となる黄色フィルターが必要となり、より手軽に観賞できる手段が求められていました。

【開発概要】

観賞時に黄色フィルターを必要としない蛍光タンパク質を開発するため、その遺伝子の配列を置き換え、目に見えない紫外光を最も良く吸収できる変異体を30万通りの候補から選別しました。さらに、蛍光の輝度を十分に高める改良を加えることで、紫外光の照射時に明るい蛍光を発する改良版の開発に成功しました(図)。

市販のハンディー型UVライトでも鮮やかな蛍光を確認し、手軽に鑑賞できる手段を実現しました。

蛍光タンパク質の改良について

【今後の利活用について】

NECソリューションイノベータは今後、花き業界への蛍光タンパク遺伝子の提供を行い、花き業界と共に共創活動を行っていきます。更に、IoTと組み合わせる等、観賞花を美しく光らせるためのライトデザイン設計も行っていきます。その一環として、2017年4月より、国立大学法人東京藝術大学(東京都台東区上野公園)と共同で光源となるライトデザイン設計を進めています。

今回の「光るペチュニア」は、2017年7月11日(火)から10月1日(日)まで、国立科学博物館(東京都台東区)で開催される特別展「深海2017~最新研究でせまる"生命"と"地球"~」において展示する予定です。

【本開発に関する情報】

http://www.nec-solutioninnovators.co.jp/rd/bio.html

研究室紹介ホームページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses104.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/demura/

(2017年07月13日掲載)

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