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第11回梅園賞授賞式が開催されました。
植物形態ダイナミクス研究室 助教 古谷将彦博士が第11回梅園賞を受賞しました。授賞式と記念講演が10月20日に本研究科大講義室にて行われました。梅園賞は、梅園基金の設立趣旨に沿って、熱気溢れる時期にバイオサイエンス研究に精進し、優れた研究成果(論文発表)をあげた本学の助教あるいはポスドク研究員の1名を顕彰するものです。対象者が研究の推進に中心的な役割を果たしたと認められる発表論文(2012年6月1日~2014年5月31日の期間に査読付き国際学術誌に発表されたもの)の学術的価値とオリジナリティの高さに審査の重点が置かれています。受賞者には表彰状と目録が授与されました。
第11回梅園賞受賞者 古谷将彦博士のコメント
このたびは梅園賞というすばらしい賞をいただき、光栄に思います。対象となった本研究は本学大学院生時代にスタートしたもので、第一回梅園賞の選考会にも参加させていただきました。当時は新規遺伝子の探索を行い同定できたという内容で受賞には至りませんでしたが、今回は10年かけて行ってきた同定遺伝子の機能解析の成果を評価して頂き嬉しく思っています。本研究を温かい目で見守りサポートしてくださった田坂昌生教授、そしてこれまで一緒に研究を行ってきた大学院生に深く感謝致します。
受賞研究の発表内容(演題と要旨)
「植物発生における細胞極性の形成と維持機構」
多細胞生物の発生は個々の細胞機能が時空間的に組み合わされることにより進行する。その細胞機能発現の基盤となっているのが細胞極性である。植物においても、物質の方向性をもった移動や異なる性質の娘細胞を生み出す非対称分裂は細胞極性に依存したかたちで行われ、発生に深く関わっている。我々は植物の形態形成に重要な役割を果たす植物ホルモン・オーキシンの極性輸送システムに着目し、駆動力となるオーキシン排出キャリアーPIN-FORMED (PIN)の極性を持った局在を制御する分子機構を明らかにしてきた。本セミナーでは、細胞間でPIN極性を揃える機構に迫るこれまでの研究成果を紹介するとともに、最近取り組み始めた数理的解析や受精卵の不等分裂の基盤となる細胞極性形成機構についても議論したい。
(2014年10月21日掲載)