NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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我が国における「若手アカデミー」の設置を考えるシンポジウムが開催されました

3月4日に大阪の大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホールにおいて、「若手アカデミーとは何か」と題されたシンポジウムが開かれました。これは ALLEA(ALL European Academies, 欧州科学人文学術会議連合)の事務局長であるルーディガー・クライン博士の来日に伴い企画されました。

シンポジウムの様子

近年、ヨーロッパの一部の国(現在、オランダ、ドイツ、オーストリアの3ヶ国)のアカデミーで、30代を中心とする若手研究者からなる部門が設置され、若手アカデミー(Young Academy)として、学際的・国際的な交流活動や、科学と社会をつなぐ活動等に関して、独自の取組みを展開するということが行われてきています。その上で、こうしたヤングアカデミー活動の一層の普及拡大を図ろうとする動きがあり、2つの方向からこのための取組みが展開されてきています。一つは IAP(InterAcademy Panel on international issues)と世界経済フォーラムとの連携を通じた取組みで、IAP と世界経済フォーラムは、2年間にわたって、中国で開催されるサマーダボス会議に各国の優秀な若手研究者を招聘し、若手研究者の役割について議論を行ってきました。ここでの活動をベースとして、本年2月に、ベルリンで、Global Young Academy(GYA)の設立と、各国での若手アカデミー設立推進とを目的とした国際ワークショップが開催され、日本学術会議若手アカデミー委員会からも、同ワークショップに駒井、他3名の若手研究者が派遣されました。

もう一つは、ヨーロッパで全欧の若手アカデミーを設立しようという取組みで、こちらはIAP の協力機関であるIAC(InterAcademy Council)との連携の下に、ALLEA(ALL European Academies, 欧州科学人文学術会議連合)が中心的な議論の場となっています。そこで、今回のシンポジウムではALLEA 事務局長のクライン博士が来日する機会を活用し、同博士から、全欧の若手アカデミーの設立に向けた動き等について紹介いただくとともに、併せてベルリンのワークショップに参加した4名の日本学術会議若手アカデミー委員会委員からの報告を行い、日本におけるこの問題に対する今後の取組みの在り方について検討する機会となりました。

世界各国で進む若手アカデミー設立の潮流は、若手研究者の育成および人材活用を目的として大きくなってきており、縦横のつながり(領域を超えた若手研究者同士の交流およびシニアアカデミーとの連携)をより活発に行えるようなプラットフォームの設置と維持に力点が置かれるもので、我が国においても若手アカデミーの早期設置が望まれます。今後も国際的な方向性を視野に入れ、日本独自の問題を詳細に吟味し、その上で我が国の若手アカデミー設置を目指すことが、私たち若手アカデミー委員会委員の責務であるとその重責を実感しております。皆様のご意見ご要望などお聞かせいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

細胞構造学講座
駒井章治

(2010年03月25日掲載)

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