NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

長谷川 武宏 さん

  • シスメックス株式会社 診断薬開発本部
  • 2000年度(修士) 分子発生生物学
長谷川 武宏さんの近況写真

おそらくこのページをご覧になっている方の多くが、奈良先端科学技術大学院大学の受験を考えておられる受験生の方だと思います。私も今から8年前皆さんと同じように奈良先端を受験しました。その後、博士前期過程を修了して、現在神戸にある臨床検査機器試薬メーカーで診断薬に使用する抗体の作製や診断薬の開発をしております。

奈良先端の魅力は、恵まれた設備と潤沢な研究資金、それにモチベーションの高い指導教官だと思います。私は、高橋淑子先生のもとで体節形成の研究を行っていましたが、先生から様々な指導を頂き、それが企業に就職した後でも大変役に立っております。といっても、体節形成の研究が臨床検査試薬開発に役に立ったということではありません。

高橋先生の指導内容には、研究内容についての指導とプレゼンテーション法についての指導という2つの大きな柱がありました。研究については柔軟な発想を重んじ、こちらが適切に提案したものであれば、何でもトライさせてもらえたことを覚えています。ただし適切な提案というのが重要で、自分が直面している問題について、どのような解決策を考えているのかを、論理的に説明できる能力が要求されていました。つまりプレゼンテーション能力です。この能力は企業に就職してからも、大変役に立ちました。というのも、研究開発の仕事も同じで、問題について解決策を考え、それを他のメンバーに理解させ、実行して結果をまとめ、新たな問題点をディスカッションするということの繰り返しです。論理的なプレゼンテーションが出来なければ、自分のアイディアを出すことも、他のメンバーとディスカッションすることも、ひいては業績を出すことも出来ないのです。

私は他の同級生とは異なり、研究者の道ではなく企業で働くことを選びました。企業では奈良先端の様な最先端の研究は出来ませんが、臨床現場で使ってもらえる製品を作ることが出来ます。責任も重いですが、大変やりがいのある仕事です。

近々、私が作製した抗体がはじめて製品として世に出て、患者さんの病気を診断します。これも日々のさまざまな研究の成果によって得られた結果です。そしてその基礎は、奈良先端の高橋淑子先生をはじめ、教官や先輩がたの指導によって築かれたものだと、私は信じております。

ただ一つ心残りなのが、博士後期過程に進学しなかったことです。一昔前と違い、今企業はphDを持った学生も多く採用しています。企業に就職を考えている皆さんも、ぜひ恵まれた奈良先端の環境で、博士後期過程まで修了してみては如何でしょうか?

【2005年07月掲載】

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