中島 敬二 教授
ご自身の研究内容やその面白さについて教えてください。
植物が変動する環境に応答し、組織や器官を作りながら成長してゆく過程を、遺伝子のはたらきや細胞レベルの動的変化に注目して研究しています。通常は見ることが出来ないダイナミックな発生現象を、独自の顕微鏡技術や画像処理技術を使って見つけ出し、その制御メカニズムを、遺伝子やタンパク質のレベルで明らかにする研究を行っています。自分たちの創意工夫で世界に先駆けた発見を出来るのが、この研究の面白さです。
研究現場の苦労や楽しみについて教えてください。
研究に苦労はつきものですが、後から考えれば苦労自体が楽しみの1つです。自分の知りたいこと、好きなことで苦労できるのは、研究者や芸術家の特権ではないでしょうか。苦労して集めたデータの1つ1つは意味不明でも、ある日それらが繋がって新発見につながること、それを論文にまとめて社会や研究者に発信するのが研究の楽しみです。
期待される成果や社会的意義について教えてください。
変動する環境下で植物がどのようにして自らの成長を最適化するのか、この問題を解くことは、食糧の増産や環境問題の解決など、持続可能な社会の構築の基盤的となる知識を提供します、というのが模範回答です。でも、生物の成長や営みに疑問をもち、回答を得ることに精魂を込めている研究室があって、そういう研究活動が大学院の教育を担っていること自体が社会的意義ではないでしょうか。
これから受験する学生へ一言応援メッセージ
奈良先端大では、専門分野を変えて新しい研究にチャレンジする学生を応援しています。バイオサイエンスが対象とする研究の幅は、皆さんが考えているよりも遥かに深いはずです。現在の知識や思い込みに囚われず、楽しく研究生活を送れそうなラボを探して、遠慮なくコンタクトして下さい。
研究室を志望するにあたり、勉強をする上で、おすすめのサイト、本、総説などを教えてください。
- 教科書:
テイツ・ザイガー「植物発生生理学」 - 総説:
Hisanaga,T., Yamaoka, S., Kawashima, T., Higo, A., Nakajima, K., Araki, T., Kohchi, T. and Berger, F., Building new insights in plant gametogenesis from an evolutionary perspective. Nature Plants 5, 663-669 (2019).
Hisanaga, T, Miyashima, S. and Nakajima, K., Small RNAs as positional signal for pattern formation. Curr. Opin. Plant Biol. 21, 37-42 (2014).
リフレッシュ方法は何ですか?
釣り、キャンプ、日曜大工、写真、庭いじり