出村教授

出村 拓 教授

植物代謝制御

ご自身の研究内容やその面白さについて教えてください。

植物において水を運ぶ役割を持つ道管細胞やハイドロイドなどの通水細胞ができるメカニズムを解析しています。これまでの研究から、被子植物に見られる道管細胞はコケ植物のハイドロイドと共通した遺伝子の制御下にあることなどを、様々な新しい手法を用いることで明らかにしてきました。最近では、植物特有の構造と運動の特性が植物を構成する幹や枝などの器官の力学特性とどのような関係にあるのかについての研究も進めています。さらに、情報やデバイスなどのデジタル技術を活用したバイオ研究を進める「デジタルグリーンイノベーションセンター」にも参加することで、新しいサイエンスの展開とその社会実装を目指しています。

研究現場の苦労や楽しみについて教えてください。

研究を円滑に進めるために色々な人たちとつながることができるのが研究を進める上での最大の楽しみです。とくに、新しい技術や発想は、一カ所に留まっていては得られることがありませんので、自らできる限り外に出て行くようにしています。異なる研究分野の研究者との連携も重要で楽しみの一つですが、中々理解が深まらない場合もあり、ある意味、苦労している点でもあります。

期待される成果や社会的意義について教えてください。

通水細胞の研究は、植物の生産性を量と質ともに向上させることにつながり、いわゆる植物バイオマスを増やすという点で社会に貢献できます。植物の構造・運動・力学の特性の相関の解析は、木造建築などの空間構造工学との連携を進めており、植物の特性をもとにした建築物の創出も期待されます。

これから受験する学生へ一言応援メッセージ

本学への入学は、学部までの研究内容にとらわれず、新しいことに挑戦する良いチャンスです。とくにバイオとデジタル技術との融合の新しい研究に興味がある方は大歓迎です。いつでもお声がけください。

研究室を志望するにあたり、勉強をする上で、おすすめのサイト、本、総説などを教えてください。
  • 「植物の通道細胞進化を転写因子から読み解く : 道管要素と師部要素の分化を制御するマスター転写因子の研究から」化学と生物、56巻5号353-363(2018)
  • 「植物細胞壁:細胞壁形成の設計図~転写制御機構」化学と生物、53巻5号313-318(2015)
  • 「植物細胞壁」著・編:西谷和彦・梅澤俊明、講談社
リフレッシュ方法は何ですか?

釣り、ワイン、コーヒー、家庭菜園、筋トレ、ジョギング(ロード、トレイル)、サイクリング(グラベル、ロード)