セミナー情報
植物におけるSpindle assembly checkpointの制御機構
演題 | 植物におけるSpindle assembly checkpointの制御機構 |
講演者 | 小牧 伸一郎 博士(ハンブルグ大学 Department of Developmental Biology 研究員) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2017年2月21日(火曜日) 10:00~10:45 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | Spindle assembly checkpoint (SAC) は酵母から動物まで高度に保存されたM期チェックポイントであり、染色体の動原体と紡錘体微小管の結合を監視することで、染色体の異常な分離を抑制する。一方、植物、特に被子植物はその進化の過程においてゲノムの倍加が頻繁に起こることが知られており、またコルヒチンやオリザリンなどの微小管重合阻害剤を処理することで容易にゲノムの倍加を誘発できることから、機能的なSACの存在が疑問視されてきた。 私はこれまでのシロイヌナズナを用いた研究から、植物もストレス時において、SACを用いた細胞周期の抑制を行うことを明らかとした。しかしながら、植物のSACは動原体において他の生物とは異なる特有の局在様式を取ることがわかった。さらにシロイヌナ ズナはSACによる細胞周期の進行の抑制をごく短時間しか行わず、その後は自らSACを遮断し、染色体の分離を行うことなく細胞周期をリセットすることが観察された。この植物特有のSACの制御機構は、ストレス時においてゲノム倍加を容易に起こす植物の特徴を担っている可能性がある。本セミナーではこれらの研究成果とともに今後の研究計画についても議論したい。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |