開始因子eIF4GとeIF3e/Int6による翻訳制御メカニズム
- 演題
 - 開始因子eIF4GとeIF3e/Int6による翻訳制御メカニズム
 - 講演者
 - 浅野 桂 博士(カンザス州立大学)
 - 使用言語
 - 日本語
 - 日時
 - 2011年7月4日(月曜日) 15:00~16:30
 - 場所
 - 大セミナー室
 - 内容
 - 翻訳開始反応とは、リボソームのPサイトにmRNA開始コドンと開始メチオニンtRNAをセットする反応であり、真核生物では10以上の開始因子によって媒介される複雑な反応である。この過程においてmRNAは、末端の特有な修飾5'm7Gキャップ構造とポリ(A)配列を介して細胞質キャップ結合複合体eIF4Fにより40Sリボソームに導かれる。eIF4Fとリボソームの相互作用の橋渡しになるのがヒトで13のサブユニットからなる巨大因子eIF3である。ここでは、出芽酵母をモデルとして用いた実験から、eIF4FのアダプターサブユニットであるeIF4GとmRNA、そして他の開始因子eIF5,eIF1との相互作用が、どのようにして安定な前開始複合体をmRNA5'末端に形成し(48S複合体)、スキャニングによる開始コドンの認識を促進するのか、その分子メカニズムについて報告する。また、近年の研究から、キャップ依存性翻訳機構がどのようにしてmRNA特異的な翻訳制御を達成するのかが明らかになりつつあり、そうした制御の中でeIF3の役割が注目されつつある。分裂酵母をモデルとした研究からもeIF3e/Int6サブユニットを中心としたeIF3の一部が転写因子Atf1など、ストレス応答性遺伝子の発現を促進することが明らかになっている。これらの研究から提唱されるeIF3 mRNPアダプター仮説について考察したい。
 - 問合せ先
 - ストレス微生物科学
高木 博史 (hiro@bs.naist.jp) 
        奈良先端科学技術大学院大学