研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科細胞間情報学研究室の高山誠司教授が日本農学賞および読売農学賞を受賞
バイオサイエンス研究科細胞間情報学研究室の高山誠司教授が日本農学会より、平成25年度日本農学賞 を受賞しました。また、併せて読売新聞社より、第50回読売農学賞を受賞しました。「日本農学賞」は、日本農学会が「農学上顕著な業績を挙げたもの」に授与する賞で、大正14年(1925年)の創設以来、日本の農学研究者間における最高の栄誉とされ今日まで続いています。また、「読売農学賞」は、読売新聞社が「農学分野の優れた研究を顕彰するもの」で、今年で丁度50回目となります。
* 日本農学会ホームページ参照:http://www.ajass.jp/
受賞コメント
本学に赴任して以来取り組んできた「自家不和合性」に関する研究が評価されて、今回「日本農学賞」並びに「読売農学賞」を受賞出来たことは大きな喜びです。長年に渡り苦楽を共に研究を進めて下さいました研究室のスタッフ、ポスドク、技術補助員、大学院生ならびに共同研究者の方々に深く感謝致します。今後さらに精進してこの研究領域の発展に寄与していくと同時に、本領域を切り拓いていく次世代の人材の育成に努めていきたいと考えておりますので、これからもよろしくお願い致します。
受賞時の発表内容
植物の自家不和合性における自己非自己識別機構に関する研究
自家不和合性は、被子植物が自殖(自家受精)を回避し、種の遺伝的多様性を保持していく上で極めて重要な性質である。また、本性質はアブラナ科野菜類のF1ハイブリッド種子生産等で実際に利用されている農業上の重要形質でもある。自家不和合性の現象は250年以上前に見出され、かのダーウィンを始め多くの研究者の興味を惹きつけてきたが、植物がいかにして自己と非自己の花粉を選別しているのか、その分子機構は長らく謎のままであった。
受賞者は、アブラナ科植物とナス・バラ科植物を材料にこの課題に取り組み、両科植物が「自己認識」と「非自己認識」という全く異なる基本原理を使い自他識別を行っていることを世界に先駆けて明らかにした。この一連の研究により提示された概念は、他の植物や両性動物の自家不和合性の機構解明でも生かされると共に、生物がいかにして自他を識別しているかという基本的仕組みの理解に大きく貢献した。
(2013年04月17日掲載)