研究成果の紹介
バイオサイエンス領域ストレス微生物科学研究室の高木博史教授らが公益財団法人日本生物工学会の「第31回生物工学技術賞」を受賞
令和4年5月24日付けで、バイオサイエンス領域ストレス微生物科学研究室の高木博史教授らが公益財団法人日本生物工学会の「第31回生物工学技術賞」を受賞しました。
生物工学に関連する工業の技術開発に顕著に貢献した会員に対し、日本生物工学会より生物工学技術賞が授与されます。授賞式・受賞講演については、令和4年10月17日に開催された「創立100周年記念第74回日本生物工学会大会」において行われました。
公益財団法人日本生物工学会ホームページ:
https://www.sbj.or.jp/news/news_20220615.html
http://www.sbj.or.jp/awards/awards_tech.html
https://www.sbj.or.jp/2022/
https://www.sbj.or.jp/
【受賞課題名】
微生物機能を活用した新たな風味を有する泡盛醸造技術の開発
【受賞者】
塚原 正俊1、山田 修2、髙木 博史3、外山 博英4
(1バイオジェット、2酒総研、3奈良先端大、4琉球大)
受賞者らは、沖縄の伝統的蒸留酒である泡盛に使用される微生物(黒麹菌、酵母)および関与する微生物(乳酸菌)について詳細な特徴や遺伝子レベルの解析を行うことにより、優良菌株の選抜や有用成分の高生産機構の解明を行った。これらの成果は多くの泡盛醸造に利用されており、泡盛の品質の向上や多様化に大きく貢献してる。特に黒麹菌については、泡盛黒麹菌の特徴をゲノム配列レベルで解析し、新しくAspergillus luchuensisとして再整理したことは、我が国の伝統的微生物の位置づけを明確にした点で意義が深い。今後もこれらのゲノム情報を用いて新しい菌株育種を行うことが可能であり、泡盛醸造の発展につながることが期待できる(生物工学, 第100巻第8号, 412, 2022)。
【受賞のコメント】
この度は栄誉ある「生物工学技術賞」をいただき大変光栄です。今回の受賞は、研究代表者の塚原正俊氏(株式会社バイオジェット)が、山田修氏(酒類総合研究所)、外山博英教授(琉球大学)、当方とそれぞれ行ってきた共同研究の成果が学界・産業界で高く評価された結果です。当方は泡盛の高付加価値化を目的に、アミノ酸代謝に着目した酵母の高機能開発に取り組み1) 2)、これまでに香気成分の生成能を強化した酵母で醸造した泡盛が3種類商品化されています3) 4) 5)。科学者にとって、研究成果の社会還元は責務ですが、個人的な思いである沖縄への貢献が「泡盛酵母の開発と商品化」という形で実現したことは大きな喜びです。ご協力いただいた塚原氏をはじめ、酒造会社の方々、研究室の皆様に厚くお礼申し上げます。今後も「基礎・応用のバランス」を意識した研究を通じて、本学や社会に貢献できるようベストを尽くします。
1) H. Takagi, et al., J. Biosci. Bioeng., 119, 140-147, 2015.
2) T. Abe, et al., Front. Genet., 28, 490, 2019.
3) http://www.naist.jp/sankan/content/ja/topics/20160603.html
https://bsw3.naist.jp/research/index.php?id=1193
4) https://bsw3.naist.jp/research/index.php?id=1862
http://www.naist.jp/sankan/content/ja/topics/20180123.html
5) http://www.naist.jp/sankan/content/ja/topics/20200116.html
【ストレス微生物科学研究室】
研究室紹介ページ:https://bsw3.naist.jp/courses/courses305.html
研究室ホームページ:https://bsw3.naist.jp/takagi/
(2022年10月26日掲載)