研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の城山真恵加さん(博士前期課程2年)が「生物工学若手研究者の集い夏セミナー2014」において「ポスター賞」を受賞
バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の城山真恵加さん(博士前期課程2年)が「生物工学若手研究者の集い夏セミナー2014」において「ポスター賞」を受賞しました。
受賞のコメント
この度、生物工学若手研究者の集い 夏セミナー2014において優秀ポスター賞を受賞することができ、大変光栄に思います。この賞を頂けたのも、高木博史教授、大津厳生助教をはじめ、これまで苦楽を共に研究を進めて下さった、ポスドクの森ヶ崎進博士、河野祐介博士、技術補助員の井田慶子さん、吉野みほ子さん、大学院生のナッタさん(現: BIOTEC)、仲谷豪さん(現:長瀬産業)、佐々木翠さん(現:日本食研)、鈴木茉里奈さん(現:資生堂)、玉越愛さん(現:日本アルシー)、高橋砂予さん、舟橋依里さん、加知卓磨君、鶴岡愛さん、ありがとうございます。また研究室の皆様のご助言にも深く感謝しております。今回の受賞を励みに、今後さらに、研究を発展していけるよう精進していきたいと思います。
生物工学若手研究者の集い 夏セミナー2014のホームページ
http://www.sbj.or.jp/event/young_summer_seminar_2014.html
受賞時の発表内容
『大腸菌におけるチオ硫酸イオン優先的なシステイン合成制御機構の解明及び新規チオ硫酸インポーターYeeEの機能解析』
大腸菌は、環境中に硫酸イオンとチオ硫酸イオンが同時に存在すると、チオ硫酸イオンから、生育に必須のL-システインを優先的に合成する「チオ硫酸リプレッション,TSR」を備えていることを発見した。そこで、TSRが転写レベルによるトランスポーターの制御ではないかと考え、大腸菌における2つのチオ硫酸イオントランスポーターCysPTWAとYeeEDに着目し、TSRとの関連性について解析を行った。
大腸菌のゲノムから硫黄転移酵素を探索し、10の候補遺伝子を同定した。これら候補遺伝子を含むプラスミドをcysM欠損株に導入し、チオ硫酸塩を単一硫黄源とした最少培地(M9)でコントロールベクターより生育が回復する遺伝子(glpE, pspE, yeeD, sseA, yceA)を見出した。中でもyeeDは9回膜貫通型の推定トランスポーターをコードするyeeE遺伝子とオペロンを形成しており、新規なチオ硫酸インポーターであることが判明した。YeeEは、環境中からチオ硫酸イオンを細胞内に取り込み、YeeDにより速やかに亜硫酸イオンと硫化物イオンに変換する。この変換によりTSRが解除され、これらの無機硫黄は硫酸経路を介して、システインを合成できると結論した1)。さらに、システインの発酵生産の改良にYeeDを介した新しい経路は有効であると考え、システイン発酵生産株にYeeDを過剰発現させ、生産試験を行った。その結果、YeeDにより、1リットル当たり2.3グラム生産され、従来と比較して2倍、システイン発酵生産量の増加がみられた。これらのことから、YeeDの過剰発現はシステインの発酵生産で有用であるといえる2)。
関連する資料
- 硫黄同化の進化の果ては「ごめんなさい」, 大津厳生、河野祐介、高橋砂予、城山真恵加、舟橋依里、高木博史
実験医学増刊号「代謝研究の最前線」, 2014 (印刷中) - L-システイン生産能が高められた腸内細菌科に属する細菌, 大津厳生、河野祐介、高橋砂予、舟橋依里、城山真恵加, 特願2013-183237
(2014年07月23日掲載)