卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
小宮 怜奈 さん
- 国立遺伝学研究所 実験圃場 特任研究員
(→沖縄科学技術大学院大学 サイエンステクノロジーグループ 独立研究員) - 2007年度(博士) 植物分子遺伝学
プロフェッショナルでありたい!!という志をもつことができました。
博士後期課程より奈良先端大に入学したため、焦りと不安を抱きながら、私のNAIST生活がスタートしました。私の場合、研究の波に乗りはじめるまで時間を要しましたが、論文を投稿しはじめた頃から、徐々に研究のおもしろさを感じ、2007年度に学位を授与していただきました。その後、同研究室で研究員として在籍させていただくことで、研究内容をより深く総体的に考えられるようになり、イネ花成のネットワーク機構を解明するに至りました。“NAIST学生+研究員”セットの5年で研究人生の土台を築く事ができました。また、この5年間に、21stCOE及びグローバルCOEの経済的なサポートを受け、国際学会での発表等、数多くの貴重な経験をさせていただきました。
奈良先端大の誇るべき点は、最先端の環境設備、論文出筆の一連の流れを学べる等沢山ありますが、特にすばらしいのは、修士課程の学生も博士課程の学生も活気があるということです。研究に熱心ですし、先輩、同期、後輩と議論し、時に談笑することで、偉大な若いNAISTパワーに幾度と支えられました。マラソン大会後に催されるバイオサイエンス研究科の打ち上げで、研究室の垣根を超えて楽しくお酒を飲んだことも素敵な思い出です。
そして、奈良先端大に入学してよかった、研究者として一生の宝物を得た!と心から感謝している事は、研究姿勢を学んだ事です。所属した植物分子遺伝学講座において島本教授が先頭に立って新しいことに挑まれる姿、世界トップクラスの論文を発表していくラボ環境の中で、自然と目線が上昇し、より質の高い研究を目指し、プロフェッショナルでありたい!!という志をもつことができました。
近年、科学技術の進歩のスピードは著しく、10, 20年先の自身の研究像は具体的にはわからないというのが正直な気持ちです。しかし、奈良先端大で培ったプロフェッショナルな精神のもと、核となる新規な現象の分子メカニズムを解明するに至る研究者に成長したいという目標をかかげ、現在、国立遺伝学研究所に移籍し、奈良先端大で進めていたイネの花成の研究から、次ステージの生殖の制御機構にフォーカスし分子レベルでの機能解明に取り組んでいます。次世代技術を駆使し、生殖制御に関与する小分子RNAと向き合い、情報処理等の新しい分野の勉強も並行しながら研究を進めています。また、サンプリングを行うフィールドワークもあり、一石二鳥な?イネの研究を楽しんでいます。
博士後期課程進学を考えているみなさんへ
この分野に興味がある。こんな研究をしてみたい。という研究に対する熱い思いが大切です。世界レベルでご活躍されている教授・スタッフ陣によるNAIST環境であれば、あなたの熱い思いを形にかえていく “研究力” を身につけられるはずです。先ず、思いから!!!
写真の説明:向かって左から、
左:生殖期に作用する遺伝子が壊れた不稔のイネ(種子が実らず、穂が立っている)
中央:本人
右:野生型のイネ(種子が実り、穂がたれる)
【2010年10月掲載】