NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

大橋 厚志 さん

  • 内藤法律事務所
  • 1995年度(修士) 植物代謝調節学
大橋 厚志さんの近況写真

現在、名古屋で弁護士をやってる完全に脱線組のOBです。もちろん、在学中から弁護士を目指したり、司法試験の勉強をしていたわけではありません。当時は、真剣に宇宙飛行士を目指していました(すでに、脱線はしていたか…)。私が奈良先端大を受験したときは、すでに学部を出てからまる5年、ケチャップ売ったり、マリーナ造ったりと、およそバイオとは縁のない世界でサラリーマンをしてました。そんな私が受験を思い立ったのは、急に宇宙に行きたくなり、バイオや材料分野でのバックグランドが必要になったからです。当時、NHKスペシャルで「人体」「脳と心」なども放送してましたから、そんな番組を見て、人並みに生命に対する興味はかき立てられてはいましたが、高校でも「生物」など履修していない私は、オーム社の「絵とき遺伝子工学入門」などを図書館で借りて理論武装(?)し、受験に臨みました。こんないい加減な私を、奈良先端大は太っ腹にも受け容れてくれ、しかも2年でまがりなりにもバイオサイエンス修士として体裁を整え、何と、宇宙関連企業に就職まで世話してくれたのです(何てふところの深い大学だろう!新名先生はじめ、関係の先生方、本当にありがとうございました)。奈良先端大に入ったおかげで、私は望み通り宇宙飛行士の試験にも挑むことができ、先日宇宙で立派な仕事をされた星出飛行士や、続いて飛行が予定されている山崎(当時角野)飛行士、古川飛行士とも最後までご一緒する幸運に恵まれました。その後、少し(?)方向転換し、こうして弁護士として何とか食っていられるのも、すべて、奈良先端大において、新しい分野にチャレンジして途を切り拓いていくフロンティアスピリットを涵養えたからだと大変感謝しております。

今の仕事ですが、田舎の弁護士ですから刑事事件や離婚・相続・破産などの一般民事事件もやってますが、事務所の所長が日本知的財産仲裁センターのセンター長も務めた知財弁護士であることもあって(例によって、私は何も知らずに就職してしまいましたが…)、多くの労力は、知財事件に注いでいます。特許関連事件などでは、短時間に膨大な明細書や出願書類等の内容を理解することも求められますが、馴染みのない分野の発明技術が問題となる事件でも、それほど苦にならずに資料に当たることができるのも、これすべて、奈良先端大で論文検索など種々の勉強をさせていただいたおかげです。残念ながらバイオのバックグランドが直接役立つ事件というのは少ないですが、先日、ある生物の肉が純系由来か否かを区別する技術が問題となる事件で、10何年ぶりに、「PCR」という言葉に触れ、とても懐かしい思いがしました。と同時に、完全に知識がぶっ飛んでしまっている自分に気が付き、愕然としました。やはり、何事もやっつけの付け焼き刃ではモノになりませんね。「継続は力なり。」もっとも自分とは縁遠かったこの言葉を今更ながらにかみしめながら今の仕事を終生の仕事とすべく(ホントか?)、日々精進に励んでいる今日この頃です。

【2009年04月掲載】

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