卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
米田 藍 さん
- 住友電工システムソリューション株式会社
- 2006年度(修士) 植物遺伝子機能学
私は植物遺伝子機能学講座で2年間お世話になり、タバコの二次代謝産物であるニコチンの生合成経路に関する遺伝子を特定する実験手法の確立を目指し研究を行っていました。学部時代に奈良先端大の先生方の講義を受講する機会があり、奈良先端大で研究されている植物遺伝学に興味を持ちました。
植物を対象とした研究は初めてだったので、奈良先端大での研究生活は躓く事も多く、スムーズなものではありませんでしたが、その分成長でき、すばらしい先輩方や仲間に出会えた2年間でした。研究に関しては先生方から厳しい指摘など頂きながらも、親身にアドバイスをして頂きました。実験手法やゼミの練習では先輩方に丁寧に指導していただき、有意義な研究生活を過ごせました。また、バイオサイエンス研究科では国内外各方面で活躍されている先生方のセミナーを多々開催しているので、多くの見解を聞くことができ、講座にとどまらない広い視野を養うことができました。
現在、私は住友電工のグループ企業である住友電工システムソリューションに勤務しています。道路交通事業、情報通信事業、ソフトウェアの開発など幅広い事業展開を行っていますが、私はその中でソフトウェアの開発を行っています。そもそも今の会社に興味を持ったきっかけは就職活動をしている中で、就職指導で自己分析をしたところにありました。バイオサイエンスの研究をしているのだから、それが活かせる企業をと当初考えていましたが、バイオサイエンスの知識を活かせる仕事が本当に自分に合っているのかと疑問に思い、仕事分野に固執しすぎず自分に合った就職を目指した結果、現在の会社に辿り着きました。
バイオサイエンスの研究からソフトウェアの開発と異例な就職をしており、奈良先端大で学んだことが活かせているのかと疑問に思う方も多いと思います。確かに奈良先端大で学んだバイオサイエンスの知識を直接活かせることはありません。相手は植物でも遺伝子でもなく、プログラミングとその設計や評価などパソコンに向かっていることがほとんどです。しかし、仕事をする上で大切なことは問題点を分析し、考え、アプローチしていくことにあり、この考え方は研究と同じだと思います。また、奈良先端大で学んだ研究に対する考察力、分析力、プレゼンテーション力などの総合的な知識、経験は業務にそのまま活かされていると感じています。
奈良先端大で身に付けた総合力が今仕事をしていて大変役に立っていると実感しており、将来進む道がどんなものであっても奈良先端大での経験は活かせると思います。
【2009年04月掲載】