NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

原田 英美子 さん

  • 京都大学 生存圏研究所
    (→滋賀県立大学 環境科学部 教授)
  • 2000年度(博士) 植物細胞工学
原田 英美子さんの近況写真

私は薬学修士取得後に私立大学に3年間勤務し、出産のため退職しました。大学勤務のころから、バイオサイエンスへの興味が強かったこと、並びに、研究者として社会復帰することを希望していたこともあり、奈良先端大への入学を選択しました。

バイオサイエンスへの取り組みは、以前の専攻の天然物化学との考え方や実験手法などの専門性の違いから、キャッチアップの努力が必要で、また、入学当時1歳だった長男を保育園に預けながらの学生生活は、時間的制約も厳しいものがありました。この状況でも5年間で学位が取得できたのは、教授ならびに研究室メンバーの指導と励ましの賜物であると心から感謝しています。

私の奈良先端大在学中のテーマは、植物の重金属耐性機構で、そのまま同じ分野の研究を続けています。在学中、この分野は研究者の数も少なく、学会で発表してもほとんど反応がないくらいでしたが、その後状況が変わり、一躍先端研究分野の一つになりました。植物分野の研究者にすらあまり認知されていなかった「ファイトレメディエーション(重金属などで汚染された土壌や水を、植物を用いて浄化する手法)」という言葉も、最近では一般の人に知られるようになり、驚いています。若手の提案を受け入れ、挑戦的な研究テーマに携わる機会を与えて頂いた、佐野浩教授の先見の明には非常に感謝しています。

院生時代に獲得したものとしては、まず、「国際競争力のある研究の進め方、論文の作成法」。これらを一から学ぶことができたのは一生の財産になっています。外国人研究者の講演を日常的に聞くことができる環境や、英語論文作成法やプレゼンテーションの講義などにより、国際的な研究者としての素地を与えられたと思います。その結果として、学位取得後に、ドイツのLeibniz-Institut fuer Pflanzenbiochemie(ライブニッツ植物生化学研究所)で3年半、続いて韓国の江原大学で1年間の研究生活を送ることができました。帰国して企業ポスドクを勤めた後、京都大学生存圏研究所に移り、自ら立ち上げたテーマで研究を行っています。どの職場へ移っても、研究生活の楽しさと厳しさを体感する毎日ですが、奈良先端大同窓生のネットワークには助けられたり、励まされたりしています。もしこのホームページを見ている皆さんが、将来はグローバルに活躍したいと思っているなら、奈良先端大の教育システムはそれに応えてくれる、と自信をもってお勧めします。

写真:研究歴を重ねるにつれ、科学技術者の社会的責任について考えることも多くなってきました。「びわ湖環境ビジネスメッセ2008」に参加、研究所の活動を一般の方々に紹介してきました。

【2009年01月掲載】

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