NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

村上 寛和 さん

  • ノバルティスファーマ株式会社 オンコロジー事業部
  • 2005年度(修士) 動物分子遺伝学
村上 寛和さんの近況写真

『相手のニーズに合わせて情報を提供する』スイスに本社を置く製薬企業ノバルティスファーマ(株)でオンコロジーMRとして働く私の仕事です。オンコロジーとは腫瘍学のことで、私は白血病や、骨転移による骨関連事象を抑制する薬剤を扱っています。癌とは、その患者さまの生命を脅かす疾患であるため、患者さまご自身も熱心に(深く)勉強されている事が多いです。同じ疾患においてもその発症要因は人それぞれで、併発されている疾病も患者さま個々によって異なってきます。そのため投与量から、時には投与方法、副作用の症状やコントロール方法など現場で求められる物は様々です。こういったそれぞれのニーズに合わせた適切な(適正な)情報を提供するのがオンコロジーMRの仕事です。大学で学んだ薬学の知識と、大学院で学んだより専門的な知識を生かした仕事に就きたいとこの職種を選びました。

さて、では私が奈良先端大への進学を決めた理由ですが、学校の充実した設備や、各ラボの高い研究レベルも一つですが、最大のポイントは、全生徒が様々なバックグラウンドを持って奈良先端大に入学し、各自の実力に合わせた授業を専門の先生方から学べるという点でした。大学時代、有機化学のラボで新医薬品の合成研究をやっていた私にとって、新しい分野を学んではみたいものの不安も大きなものでしたので、この要因は大変大きなものでした。

ラボに配属されてからも実験で細胞や遺伝子を扱うのは初めての事で失敗の繰り返しでした。しかし、失敗するのには理由があります。生じた結果を分析し、なぜこうなったのかを客観的に考えます。一人で分からない時は加藤先生にアドバイスいただいたり、先輩や同期に意見を求めます。何度も失敗をし、時には加藤先生から叱咤激励をいただきながらの必死な二年間でしたが、自分で分析をした上で計画を立て、実行に移し、結果を評価してまた新たな計画を立てるという作業が自然と出来るようになっており、今の私の仕事に大いに役立っています。もちろんパワーポイントを用いてスライドを作成する能力や、相手に分かりやすく発表する方法、また疑問を調べる方法や文献の読み方、理解の仕方を学べた事も現在の仕事で生きていますが、何よりも、“問題が生じ”その現状を分析、解決策や方法をいくつも考えて、その中から実行可能な物を優先順位を付け行動していく事は、社会人としてこれから様々な仕事をしていく私にとって、奈良先端大で学んだ一番貴重な物です。

今、奈良先端大に興味のあるラボがある人も、他分野からの進学で不安な方も、ぜひオープンキャンパスに参加して先生や先輩に興味のある事を聞いてみて下さい。あなたがやりたいと強く願う事を、奈良先端大の先生や先輩方はサポートしてくれますよ。そんな雰囲気のある学校なんです。色々な夢を持った同期達に巡り会えるのも、この学校ならではです。

(写真:後列右が筆者)

【2008年10月掲載】

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