NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

リム・チュンレン さん

  • 株式会社DNAチップ研究所
  • 1998年度(博士) 動物細胞工学
リム・チュンレンさんの近況写真

奈良先端科学技術大学院大学、バイオサイエンス研究科第一期生、また留学生第一号のリム・チュンレン(マレーシア出身)です。学部は京大農学部でしたが、個人的に大学院では農学ではなく、分子生物学を学びたかったので、大学院は新設の奈良先端科学技術大学院大学を選択しました。当時、よく周りに聞かれた質問は、「全く実績のない大学院で大丈夫か、分子生物学なら理学部を受験すればよいではないか、何故施設や交通の不便な奈良先端大にするのか、等々」。

私の考えとして、実績はどこの学校も最初からあるものではないし、現時点において例え実績があったとしても、それだけを頼りにしないほうがよいと考えました(実際は、奈良先端大の実績がないわけではなく、スタッフの方々の今までの研究業績を調べると、優秀な発表や論文が多数ありました)。また、施設に関しては、拡充する情報もあったので、十分に対応できると判断しました。交通の便については、確かに不便と言えるかも知れませんが、そのお陰で車の運転と道を覚えて、行動範囲がより広くなりました(ちなみに、現在では、奈良先端大の近くに電車が止まるようになり、当時と比べれば格段に便利になりました)。

数年が経ち、ウェブサイトに記載されているように奈良先端大の実績は非常に活発で、有名な国際誌の常連となっています。なぜ奈良先端大がここまでできたか、私なりの考察ですが、入学試験のシステムと関係があるのではないかと考えています。入試は、小論文と面接で、当時の他の大学院と比較するとドイツ語の翻訳試験などがなく、しかも口頭試問で試験をするという非常に合理的かつ効率的なシステムでした。現在は、多くの大学院においてもドイツ語の試験がなくなりましたが、ある意味で奈良先端大が先駆け的だったと思います。そして、現在の実績は、スタッフだけではなく、学生も自分の特長を伸び伸びと発揮した成果だと思います。

私は奈良先端大で遺伝子教育研究センターの動物細胞工学(河野研)に所属、河野先生の指導を始め、木俣先生及び部屋の皆様の協力で、一年目から論文を投稿できました。そのおかげで、日本学術振興会の特別研究員となり奨学金をいただくことができ、大学院は経済的な心配をすることなく研究に集中できました。博士号をいただいてから、当時大学内にあった大正製薬寄付講座の松原先生と出会い、松原先生が社長をしている株式会社DNAチップ研究所に入社し、現在に至るまで、開発を担当しております。入社当時、会社は設立して半年しか経っていず、業績・技術に関しても、外資のチップ会社が有名な状態でした。なんだか奈良先端大に入学した時と似たような状況になり、新たな挑戦の1ページを開いたような気がしました。現在、設立してから8年が経ち、会社は資本金が10億以上の企業になりましたが、まだいろいろな挑戦に立ち向かわなければなりません。今後、もし学会会場などで会ったら、是非ご声援をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

(写真:前列右端が筆者)

【2008年01月掲載】

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