NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

木村 一志 さん

  • 三重大学医学系研究科
    (→北海道文教大学  人間科学部  教授)
  • 1995年度(修士) 細胞内情報学
木村 一志さんの近況写真

私は東京工業大学生体機構学科を卒業後、1994年、1期生として奈良先端大修士課程に入学しました。細胞内情報学講座(当時貝淵弘三教授、現在名古屋大学医学系研究科)に配属され、低分子量GTP結合タンパク質Rhoの標的タンパク質の探索を行いました。当時、Rhoはアクチン細胞骨格を調節することは知られていたもののその分子メカニズムは不明でした。在学中に、活性型Rhoに結合するタンパク質としてミオシンフォスファターゼを見出し、その活性制御機構を明らかにし、論文にすることができたのは大変、幸運であったと思います。この研究を進めていく中で、タンパク質化学、分子生物学、細胞生物学的手法を学ぶのみならず、論文の読み方、研究の進め方、論文の書き方さらには研究室のマネージメント法など、研究者として基本となる様々なことを学ぶことができたと思います。このように書くと簡単なようですが、当時は貝淵教授の指導についていくので精一杯で、大変しんどいという思いでした。

修士課程を修了後、京都大学医学系研究科博士課程に進学し、生体構造医学講座機能微細形態学(当時井出千束教授、現在藍野大学医療保健学部)に所属し、そのまま助手になりました。ここでは、研究テーマが神経になり、中枢神経再生を目標として、神経突起伸長のメカニズムと脈絡叢上衣細胞が中枢神経の神経突起伸長に与える影響を解明する研究に従事しました。現在は、三重大学医学系研究科ゲノム再生医学講座神経再生医学・細胞情報学(溝口明教授)の講師として、中枢神経シナプス形成の基本原理を明らかにすることを目標にして研究しています。具体的にはシナプス形成に関わる新しい細胞接着分子を探索し、これまで細胞接着分子とみなされてこなかった陽イオンチャネルのひとつを細胞接着分子として見出しました。この分子がシナプス形成に重要な役割を演じていることを想像すると、興奮を覚える毎日を過ごしています。

現在でも、奈良先端大で学び、経験したことが私の血となり肉となって、研究生活の支えとなっていることを日々実感しています。みなさんにとっても、奈良先端大で過ごした日々が人生の糧となることを願っています。

【2008年01月掲載】

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