卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
小寺 栄見 さん
- 株式会社ニチレイフーズ 研究開発部
- 2004年度(修士) 形質発現植物学
私が奈良先端大のバイオサイエンス研究科への入学を決意したきっかけは、ちょっとした興味で参加した大学生インターンシップでした。もともと大学では食品科学を専攻していたのですが、授業を受けているうちに遺伝学や生化学にも興味を持ち始め、そのホットな現場を実際に自分の目で見たい!と思ったのです。
まだ大学の研究室配属も決まっていない3回生の頃でしたし、授業と学生実験でしか科学と触れ合う事の無かった私にとって、そこで目にするもの全てが新鮮でした。バイオサイエンス分野最先端の設備を見学し、先生や先輩方から研究内容を聞くたびにワクワク感と強い衝撃を受けたのを覚えています。
入学してからは形質発現植物学講座で田坂教授、現在は九州大学におられる鹿内助教授の根気強いご指導の元で、シロイヌナズナの葉緑体の中で起こるRNA エディティングという現象について2年間研究しました。実験漬けの毎日でしたが、先生方、先輩方から実験方法や進め方のアドバイスをたくさん頂きながら研究を進めることができました。
現在は食べることや料理することへの興味が高じて、ニチレイフーズという会社で冷凍食品を開発する仕事をしています。自分で作った料理に近い物が工場でも作れるか、この作業は一見簡単なようでなかなか難しいものです。様々な方法や配合から最適な条件を見つけ出すために日々試験し、実際に海外工場の生産現場に立会って状態を確認することもあります。「食べてくれる人」が身近に居るという感覚に嬉しさとやりがいを感じる一方で、安心して食べてもらえる物を提供しなければ、という責任感も強く感じています。
現在は“食品の商品開発"という修士時代とは全く違う分野で過ごしていますが、色々な場面で奈良先端大での経験が活きています。それは、「時々、外にも視線を向けてみる」ということです。私はついつい研究に集中するあまり、ひとつの事にのめり込んでしまうことがありますが、そういう時は、周りにいる先輩の実験内容を聞いたり、雑誌やネットで面白そうな記事を見つけて読んだりするように心がけています。単純に気分転換にもなりますし、自分では見えてこなかったやり方や考え方に思いがけず出会うこともあります。
皆さんが奈良先端大を見学される際は、幅広くバイオサイエンス研究科を体験することができるオープンキャンパスや大学生インターンシップをお勧めします。そこには思いがけない出会いがあるかも知れません。
【2007年10月掲載】