卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
真板 宣夫 さん
- 九州大学システム生命科学府 特任助手
- 2002年度(博士) 生体高分子構造学
私は2か所でポスドクをした後、現在九州大学で特任助手をしています。専門はX線結晶構造生物学で、レトロトランスポゾンの転移機構を構造学的に明らかにすることを試みています。遺伝子クローニングからタンパク質精製、結晶化、そしてデータ測定、コンピューターによる構造精密化までをほとんど1人で進めています。
私は別の大学の博士課程を中退して1999年に箱嶋敏雄教授の研究室に博士後期課程で入りました。きっかけは当時研究対象であったタンパク質の結晶構造が解かれてしまい、研究が行き詰ると同時に構造生物学に興味を持ったためです。大学院大学なので途中から入りやすかったことと、設備が新しく研究環境も優れていると感じたからです。初めは周囲より年齢が高いことでかなり不安でしたが、私のようにまわり道をして入学してきた仲間が10人以上いて全然気にならなくなりました。博士後期課程ではGTPからネオプテリンを合成する酵素の結晶構造解析を行い、学位を頂きました。初めての構造解析が350kDaの複合体でしたので大変でしたが、構造解析手法とそれにまつわる苦労を一通り経験することが出来たので、その後の大きな糧となっています。構造生物学は他の分野と違って実験室での作業とコンピューターでの作業の両方の知識と経験が求められます。奈良先端大の特徴のひとつですが、情報科学研究科の方々が管理してくださるワークステーションを自由に使える環境にあり、UNIXの知識を身に付けることができました。この経験はポスドクの時に研究室で新たに結晶構造解析を始めるに当たり、解析用サーバーを自分で構築する際に非常に役に立ちました。
奈良先端大では運良く宿舎に入ることができ、研究室から徒歩5分という恵まれた環境で研究することができました。以前は通学に往復2時間あまりかけていたのでその時間が節約できたのと、研究が乗ってきたときに電車を気にすることなく没頭できたのが私にとって非常に良かったと思います。
博士後期課程に入りなおす際には3年で取れるか不安もありましたが、設備面や学生のサポート面も充実していて、奈良先端大を選んで正解でした。社会人を経験した方や私のように再チャレンジで大学院入学を考えている方もいると思いますが、私は奈良先端大をおすすめします。
【2007年07月掲載】