卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
仲矢 由紀子 さん
- 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(現、多細胞システム形成研究センター)
- 2004年度(博士) 分子発生生物学
“ 学びたい ” という熱い気持ちが夢を実現する原動力となる!
奈良先端大に入学する以前、私はある研究室で実験助手をしていましたが、キャリアアップを目指して大学院入学を決意しました。私の場合、仕事を辞めてこれからの人生をかけるわけですから、必ず自分自身をレベルアップさせなければなりません。入学にあたり、生物学の分野で最先端の技術や知識を学び、将来的にはそれを生かした研究職に就くことが夢でした。
バイオサイエンス研究科では、入学後に所属する講座が決定されます。私は分子発生生物学講座に配属され、高橋淑子先生(同講座教授)のもとで発生生物学を学ぶことになりました。日々の生活は、実験と先生とのディスカッション、ラボセミナー等をこなすのに無我夢中でした。時には高橋先生から海外の研究者とディスカッションをする機会をいただき、サイエンスを志すものとして英語の必要性について身をもって体験させていただきました。また、研究は日本国内だけでなく、世界に通用する広い視野で高いレベルのものが要求され、先生のご指導によっていつのまにか自分がその渦中にいることに驚きも感じていました。研究科には、顕微鏡や分子生物学に必要な高度な器機や設備が充実しています。ここでいろいろな器機を駆使する技術を身につけることは、生物学の分野で最先端の研究に通用する技術を身につけるということになります。
現在、私は神戸にある理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(現、多細胞システム形成研究センター)(CDB)で研究員として働いています。同研究所では基礎的発生生物学に留まらず、幹細胞研究や再生医療を目指す医学領域研究も行われており、それは世界に向けて発信されるレベルの高い研究として認識されているように思われます。私の所属する初期発生研究チームでは、ニワトリ胚を使って発生初期にみられる胚体外中胚葉細胞の移動と形態変化、さらに血球細胞への分化を調節するメカニズムを追究し、血管発生について明らかにしたいと考えています。ボスや他の研究者が海外から来ていることもあり、ラボ内では日常的に英語でコミュニケーションをとっています。実は私はかなりの英語オンチですが、この環境下でなんとかやっています。そして、誰も考えつかないアイディアでおもしろい現象をニワトリ胚から見つけ出そうと、日々取り組んでいます。
最後に、学びたいという気持ち、知りたいと思う気持ちが夢を実現する原動力になると思います。退職してから一大決心して大学院に入学し、そして後先のことは考えずに学位取得まで突っ走ってきてよかったと心底思っています。もちろん私一人の尽力で成し遂げたわけではありません。奈良先端大バイオサイエンス研究科は、向学心、知的好奇心をもつ私達に最高の環境と設備を与えてくれます。そしてサイエンスについて熱く語れるスタッフや仲間との出会いがあります。私はそんな環境で大学院時代をすごせたことが、現在の自分の支えになっているのだと実感しています。
【2005年10月掲載】