NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

堀江 智明 さん

  • カリフォルニア大サンディエゴ校
    (→信州大学 繊維学部 教授)
  • 2001年度(博士) 植物代謝調節学
堀江 智明さんの近況写真

堀江智明です。私は、2001年に、奈良先端大のバイオサイエンス研究科において博士後期過程を修了しました。規定より3ヶ月程遅れて苦渋に満ちた博士後期を終えた私は、その2ヶ月後の2001年8月の終わりには渡米し、現在も所属しております、カリフォルニア大学サンディエゴ校、シュレーダー教授の研究室で研究者の卵として働き始めました。大学院在籍時から現在も、植物の分子生物学的・生理学的研究に従事しています。私は、大学に入る段階から、「いつかは植物の遺伝子の研究をして、ストレス耐性植物でもつくったるわい。」と心密かに小さな胸を震わせておりました。現実は厳しいもので、浪人時代にすっかりマージャンの腕を磨きあげた私には、北の果ての某大学の生物学科に入学するのがやっとでした。それでもまだ往生際の悪い夢想を抱いていた私を襲った現実は、当時動物にくらべて遅れていた植物の分子生物学など、口にすることさえ空しい日々でした。ある日植物生理学の授業で、高校で習ったオーキシンと屈性の話を力説された時、私は確かに一瞬気を失いました。

こうした背景ゆえ、早い時期から、大学院から別のところへ移ろうと考えていました。あまり言いますと、私ごとき受け入れてくれた母校の名誉に関わりますので、ポジティブな側面も一つ。植物、ではありませんでしたが、私は遺伝子工学講座に籍をおかせていただいて、分子生物学の基礎知識・技術を先輩、先生方におそわりました。それが今現在の礎になっているので、すばらしい経験だったと思います。

さて、そんな時に本当にタイミング良く出現してくれたのが、大学院としての母校、奈良先端大でした。当時今に比べマイナーだった植物の分子生物学がやれる研究室が、なななななんと、6も7も、、、いくつでしたっけね?、あるじゃないですか。私なりに、酒とタバコですっかり縮んだ脳みそをフル活動させて、受験に通るように勉強しました。きっと大学受験より、マージャンのルール本を読むよりも、真剣な眼差しだったと思います。先端大では、新名惇彦教授の研究室に籍をおき、念願の植物の研究を始めました。

いろいろな縁が重なって、死んでも乗るまいと誓った飛行機に乗って、これまでのすすけた人生とは全く無縁な太陽サンサン、場違いなカリフォルニアに飛来し、大学院から一貫して、今も植物の耐塩性に関する研究に名も無い人生を賭けています。あっと言う間にスペースがなくなりました。もし私が、何か正直に先端大での日々について言えるとしたら、私は間違い無く先端大の存在に感謝しているということでしょうか。それと、いつまでたってもフルネームで大学名を書きたくないということでしょうか。言うをまたず現実は常に厳しいですが、皆さんの心にも何か情熱やら希望やらが渦巻いているのだとしたら、それがうまい事日の目を見ますようお祈りします。

(写真:後列左から2人目が筆者)

【2006年04月掲載】

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