卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
森川 雪香 さん
- テュレイン大学
- 2001年度(博士) 細胞間情報学
私は現在、ルイジアナ州ニューオーリンズのテュレイン大学(Tulane University)で、ポストドクトラルフェロー(ポスドク)として研究を行っています。博士課程では細胞間情報学講座に所属し、細菌の形態形成の研究を行っていました。現在は分野を変え、主にマウスの末梢神経系の発生の研究を行っています。アメリカでは、博士号取得後必ず数年~5、6年間ポスドクとして経験を積み(分野や研究の進み具合によって年数は異なります)、その後独立した研究者(Principal Investigator, PI)として自分の研究室を運営するのが一般的なキャリアパスです。私自身はアメリカでポスドクを始めて既に4年以上経ちましたが、将来PIになることを目標として研究を進め、さらに、他の研究者と交流したり、研究費の獲得の方法などを学んだりする日々を送っています。
学部から大学院に進学するにあたって奈良先端大を選んだ理由は、最新の機材をそろえていること、最先端の研究を行っていること、入学した後に講座を決めることができること、飛び入学を行っていたこと(私は大学に9月に入学したために、大学卒業が6月になり、通常の日本の大学院には9ヶ月間待たないと進学できませんでした)などでした。
実際に大学院を修了した後に振り返ると、どの分野においても通用するような研究の手法を習得することができたと思います。そのおかげか、現在は博士課程時とは全く違う分野の研究に身を置いていますが、戸惑うことなく何とか乗り越えています。
また、大学院時代の大きな収穫は、数々の人に出会えたことだと思います。奈良先端大は研究室間の垣根が低いためと、最初に同期生が一緒に講義を受講することや、スポーツ大会などのイベントが行われることによって、他研究室の多くの人々と知りあうことができました。現在ポスドク等として大勢の奈良先端大卒業生がアメリカで暮らしていますが、学会で出会ったり、お互いを訪ねたり、一緒に旅行したり、と多くの方々と今でも親交を深めています。最後に私事になりますが、ニューオーリンズは2005年夏にハリケーンカトリーナの被害を受け、街は1ヶ月間に渡り封鎖され、テュレイン大学も一部冠水し、私自身は、復旧するまでの間数ヶ月に渡りニューヨークのコロンビア大学に滞在していました。現在では、復興しつつあるニューオーリンズに戻り、不便ながらも研究生活を続けています。
【2006年04月掲載】