卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
大河原 錬也 さん
- 住友ゴム工業株式会社 タイヤ技術本部
- 2012年度(修士) 植物代謝制御
奈良先端大での一番の財産は応用力を発揮できる自信を得たこと
NAIST時代は植物代謝制御研究室で出村教授のもと「植物培養細胞における導入遺伝子高効率発現システム」というテーマで植物の応用研究に取り組みました。奈良先端大を受験したきっかけは元副学長 新名惇彦先生の著書『植物力』を読み、植物バイオの応用性に魅せられたことでした。関東出身であり、学部時代はアルツハイマー病の研究をしていた私にとっては地域も研究分野も大きく変わるチャレンジングな決断だったと感じます。しかし、学部を置かない奈良先端大に入学してくる学生には新しい挑戦に挑もうとする意欲的な人が多く、そういった学生に対しての教育支援が手厚いのも奈良先端大の特徴の一つであると思います。その為、特に悩むことなく植物研究に没頭できた二年間でした。
現在、私はタイヤメーカーにてタイヤの設計開発を行っています。定めた目標性能を達成する為に、タイヤのパターン(路面に接する部分の模様)やゴム、構造を変えては評価を繰り返します。仮説と検証の繰り返しです。その多くは失敗に終わり、評価ドライバーから「このタイヤは全然ダメだ!」と厳しい言葉をかけられることも日常茶飯事です。しかし試行錯誤を繰り返し、つくりあげていったタイヤが目標性能を達成した時の喜びは言葉にできません。
現在の仕事で、研究で培った知識を使うことはありませんが、情熱を持って何かを証明・確立する為に仮説と検証を繰り返す仕事の進め方は研究と同じです。今の自分の仕事に対する誇りやスタンスは奈良先端大で身に付けた経験が確実に活かされています。
また多くの企業には必ず異動があり、同じ担当の仕事を定年まで続けることはほとんどありません。しかし奈良先端大で新しい挑戦をして、それを自分なりに達成できた私は、どこに行ってもどんな仕事をしてもこれまでの経験を応用させて力を発揮できる自信がつきました。知識ではなく、この自信を得られたことが奈良先端大での一番の財産であると感じています。また、この自信をつけさせてくれたのが研究の指導をして頂いた加藤晃助教であり、学会や共同研究企業でのプレゼン、特許申請など私の自信の源となる種をたくさん蒔いて頂いたことをとても感謝しております。
この拡がるNAIST遺伝子は私も入学前に何度も拝見させて頂き、入学の一つの決め手となりました。まさか今、自分が逆の立場になるとは…。もし、当時の自分に会えるとしたら「奈良先端大に入学して正解だぞ!!」と自信を持って伝えてあげようと思います。受験生の皆さんはもちろん、後輩の方々においても何かに固執せず視野を広げて新しい挑戦に挑んでみてはいかがでしょうか。そんなチャレンジングな学生にとって奈良先端大は最高の環境になると思います。
【2016年05月掲載】