卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
藤田 智史 さん
- スイス ロザンヌ大学ポスドク
(→国立遺伝学研究所 研究員) - 2013年度(博士) 植物細胞機能
奈良先端大はトライすれば応えてくれる環境
私が最初に奈良先端大を知ったのは、学部三年生の時に細胞生物学の講義で大学院時代の指導教官である橋本隆先生がいらした時でした。 その3か月後ぐらいに筑波で開かれていた植物生理学会で奈良先端大の方が多数発表されていることが印象に残ったので、橋本研究室を一度実際に見せていただいた後この研究室に移ろうと決心しました。
奈良先端大では7年間橋本研でお世話になりました。言いたい放題の私を忍耐強く指導してくださった橋本隆教授、加藤壮英助教をはじめたくさんの方々に巡り合い、日が変わるのも気にならない環境で多くの研究室のメンバーと毎日議論を交わしました。さらに潤沢な設備、さまざまな充実した金銭サポート、多数の外部からの演者によるセミナー、また当時在籍されたIan Smith先生には何度も何度も英語でのプレゼンテーションの練習に付き合っていただき、研究者として成長するうえで申し分ない環境に恵まれました。加えて、他のラボとも自由に意見を交換したり、手法を教えあったりする雰囲気が大学全体にあり在籍中は周りに恵まれたと今になっても思います。橋本研では植物細胞の微小管の安定性制御に関する研究を行い、この間にまとめた博士論文が評価され井上科学財団から井上研究奨励賞もいただきました。NAISTで学位取得後は細胞内構造物の構築・維持に関わる情報伝達系の仕事を続けたいと思い、現在はスイス連邦にあるローザンヌ大学のNiko Geldner博士のグループで博士研究員をしています。このラボは15人ほどのメンバーが10か国から参加しており、各人が土台としてもつ考え方は日本では経験できないほど多様です。そんな中でそれぞれ思っていることを自由に述べつつも最後はまとまっていく過程に参加することは非常に刺激的でなかなかできない経験をしていると思います。
こちらに来て慣れない環境の中、右往左往する中でNAIST在籍中にいろんな方の助言や、背中を見て学んだ「何度も失敗を繰り返していくうちに自分の視点を見つけて、それをきっかけに次を切り拓いて進んでいく」ということをよく思い出します。奈良先端大にはトライすれば応えてくれる環境があらゆる意味で整っていると思います。思う存分やってみてはいかがでしょうか。
【2016年05月掲載】