卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
小池 俊行 さん
- 科学技術振興機構
- 1997年度(修士) 分化・形態形成学
私は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)でバイオインフォマティクス推進事業の運営に携わっています。JSTは国の科学技術政策の指針等に沿って科学技術振興のための施策を実施する公的機関です。もう少し簡単に言うと、子供から大人まで科学技術に興味がある方や、実際にそれに関わって仕事をしている方を対象に様々なサービスを提供しています。私が携わっているバイオインフォマティクス推進事業では、国内のバイオインフォマティクス研究や、生体分子情報などを収めたデータベースの高機能化研究を助成したり、ゲノム配列や遺伝子発現といった様々な生命情報を解析するソフトウェアについての講習会を開催したりしています。私たち職員はこうした諸活動を企画立案し実施しますが、自ら研究活動を行うことはなく支援業務に徹しています。支援にあたっては研究開発の現場でどのようなニーズがあるのか、あるいはどのような問題があるのかなどについて研究実施場所をまわって研究者から直接話を聞き、事業運営にフィードバックさせるよう努力しています。
奈良先端大にいたときは世界で一番量が多い蛋白質とされている、植物の二酸化炭素固定化酵素RubisCOの研究を行っていました。私の場合、近くの木津町にある地球環境産業技術研究機構(RITE)に派遣され、ポスドクの方や私と同じように他大学から派遣されている学生の皆さんと一緒に実験していました。私の研究テーマはRubisCOの立体構造解析で明らかになっていた知見を蛋白質化学的なアプローチから展開させ、さらなる新しい知見を得ることが目的だったので、隣の研究室にいたカナダ人の結晶学者に相談したり、共同研究先である他大学の研究室に行って結晶の作り方を教えてもらったりなど比較的自由な取り組み方で研究を行わせていただきました。大学院にいた2年間で、自分の専門だけでなく他分野の研究者とも幅広く知り合いになり研究できたことが、今の仕事を行っていく上でも生かされていると感じます。
先日奈良先端大のワークショップに参加し、最近の教育カリキュラムや大胆なコース設定などを知り、奈良先端大の挑戦的な精神を感じました。歴史の浅い学校だからこそ臆せずできることがあると思います。これからもそんな奈良先端大の新しい試みに注目し、応援していきたいと思っています。
(写真:右から2人目が筆者)
【2006年04月掲載】