卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
河合 ゆずか さん
- 石原産業株式会社 中央研究所
- 2008年度(修士) 細胞間情報学
勉強して新しい事を知る毎に実験のワクワク感が増していきます。
私は細胞間情報学講座で高山教授の指導のもと植物免疫に関わるシグナル伝達について研究していました。研究室は設備も資材も潤沢で実験がしやすい環境であったことを覚えています。また、奈良先端大は24時間利用可能な図書館や、敷地内の学生寮、研究室毎にあるリフレッシュコーナーなど、夜遅くまで研究に没頭しやすい環境が整っていました。
そんな中、私は本業の研究以外に、バイオサイエンス研究科の学生という立場から色々な活動を行っていました。小中学生向けの科学実験教室を開催したり、バイオテクノロジーを用いたビジネスプランの作成をしたり、環境問題について議論を交わすゼミに参加したりしていました。これらの活動では研究室や研究科の枠を超えた交流があり、自分の専門分野以外にも視野が広がるきっかけになりました。奈良先端大はこのような活動に簡単に出会いやすい状況であったように思います。
奈良先端大で知り合う人々は教員も研究員も学生も志が高く活動的で私に刺激を与えてくれる人ばかりでした。このような人に囲まれて毎日を過ごせることは自分を成長させるのにとても好都合であったと思います。人にも設備にも制度にも恵まれた環境のおかげで、在籍中の2年間は非常に刺激的で充実した生活が送れました。
現在私は石原産業株式会社の中央研究所で農薬の研究を行っています。農薬会社を選んだ理由は、企業の中ではめずらしく植物に関わる研究を行うことができると考えたためです。私は農業用殺菌剤の研究開発部門に所属し、新規殺菌剤の創薬を主な業務としています。様々な化合物ソースから殺菌活性の高い化合物を選抜し、農薬として最適な性質となるように合成担当者と協力して化合物設計を行っています。植物そのものの研究はしていませんが、植物と菌と化合物の相互作用を考察し、上手く殺菌活性を出させることが重要な仕事です。
会社での私の研究は農薬を作り上げるための研究であり、奈良先端大で行っていたような生命現象を解明する基礎研究とは様子が異なります。しかし、創薬研究では菌や植物の細胞内で起こる現象を追及する面もあり、奈良先端大での研究で得た知識や技術を活かす場面が多くあります。また、自らストラテジーを考え実験を行い、必要なデータを取って次に活かす作業は学生時代の研究活動を通して得た能力を大いに活かすことができる場面です。
就職して2年半が過ぎようとしていますが、農薬は奥が深く未だに知らないことだらけです。しかし、勉強して新しい事を知る毎に実験のワクワク感が増していきます。今後も研究を楽しみながら奈良先端大で培ったものを社会に還元すべく頑張って行きたいと思います。
奈良先端大へ進学を考えている方は、実際にキャンパスに足を運んで教授や学生と話してみてください。大学院で自分が何をしたいかが重要だと思います。是非自分の興味を掻き立てる道に進んでください。
【2011年07月掲載】