卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
安達 澄子 さん
- (独)科学技術振興機構
- 2009年度(博士) 植物組織形成学
NAISTでの経験を活かし、更なるステップアップを目指しています。
私がNAISTにお世話になったきっかけは、指導教官であった梅田正明先生のNAISTへの異動という、私自身にとってはだいぶ受け身なものでした。研究ができればどこでも同じ、という軽い気持ちも正直なところありましたが、それが良い意味で間違いであることにすぐに気付かされました。研究設備は皆で気持ちよく使えるように整えられていたほか、研究分野が多少異なっても熱心に議論をしてくれる先生方や先輩・後輩に恵まれたと思います。
大学院生の頃も社会人となった今も変わらず挑戦し続けていることは、いかに自分の考えを説得力をもって伝え相手に納得してもらうか、ということです。研究のプレゼンテーションや論文執筆でも、まずは考えていることを理解してもらうことに難しさがあります。また、考えが伝わったとしても、十分でないデータを基に議論をしていたり、考慮すべき点を網羅できていなかったりすれば、賛同を得ることは困難です。仕事での会議や書類作成もこれと同じです。在学中の先生方や先輩・後輩との議論だけでなく、海外での短期滞在や国際学生ワークショップでの経験は特に、この難しさを認識し経験を積む上で貴重なものだったと実感しています。
選んだ仕事は研究職ではありませんが、NAISTでの経験を活かして科学技術の発展に貢献したいと考え頑張っています。研究室での研究活動が大切であることは当然ですが、それを支える仕事にも大切な役割が必ずあると考えて選択した進路です。今のような仕事でなければなかなかお会いできない方々と、日々の研究のことから科学技術政策に関わることまで様々なお話ができることは、責任を感じる一方で大きなやりがいです。大学院生の頃の研究発表などでは、どちらかと言えば一方的な情報発信が多かったように思いますが、今では一緒に仕事をさせていただく方々からの情報やその意図を理解することの重要性が増しているように感じます。バックグラウンドも立場も様々な方々と接点のある毎日の中で、いかにコミュニケーションを図りwin-winの関係を築くか、試行錯誤を続けています。
写真の説明:仕事で学会に行くこともあります。
追記:
DNA損傷を克服する新たな仕組みを解明!環境ストレスに強い植物の作製に期待
安達澄子さんが中心的に研究に携わった論文が平成23年5月26日にアメリカ科学アカデミー紀要 (Proceedings of the National Academy of Sciences, USA)の電子版に掲載され、5月24日にプレスリリースが行われました。
【2011年06月掲載】