卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
宮島 俊介 さん
- Institute of Biotechnology University of Helsinki
(→奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 助教) - 2008年度(博士) 植物遺伝子機能学
なんでもやってみたら、そこから得られるものがある。
私は学部4回生から植物の研究に携わる中で、植物の形態形成について興味を抱き、他大学への大学院進学を決意しました。他大学の大学院への進学といっても、選択肢は無数にあり、日本全国の全ての大学院を把握することなど到底無理な話でした。そんな中、当時住んでいた福岡で偶然奈良先端大の入試説明会があり、軽い気持ちでそれに出席したのが奈良先端大との出会いでした。偶然は重なるもので、当時所属していた研究室の先輩の知人が奈良先端大で研究されており、その方を頼って奈良先端大を訪問させていただいた事を覚えています。
ある意味、色々な偶然のおかげで奈良先端大に進学する事になった訳ですが、ただ、奈良先端大での5年間の研究生活は、本当に充実していました。所属した植物遺伝子機能学講座(現:植物細胞機能研究室)では、最新の機器や研究費などのサポートは当然として、橋本教授、中島准教授のもと、わずか0.1mmのシロイヌナズナの根端分裂組織の世界に没頭しながら、本当にのびのびと研究活動を送る事ができました。定期的に行われる進捗報告会やサマーキャンプでは、他の講座の先生方からも自分の研究に対して様々な助言や指摘を頂き、所属講座だけでなく奈良先端大全体に研究者としての基礎を叩き込んで頂いたと思っています。また、何よりも講座や研究科を越えた友人達の存在は自分の人生をどれほど豊かにしてくれたか計り知れません。奈良先端大で多くの素晴らしい出会いがあったことを、本当に私は幸運だったと思っています。
奈良先端大を卒業後、一旦はアカデミックの研究分野から身を引きましたが、紆余曲折もあって、現在はHelsinki大学のYka Helariutta教授の研究グループで、ポスドクとして研究を行っています。Helsinkiでは、奈良先端大の研究テーマをさらに発展させ、未だシロイヌナズナの根端分裂組織の世界に、良くも悪くも、どっぷりとはまっています。文化や環境(特に気温!)の大きく異なるFinlandで、毎日充実した研究生活をおくることができています。それもまた、奈良先端大で培う事ができた研究者としての基礎の部分があるからだこそと思っています。
私には日頃から大事にしている言葉があります。それは奈良先端大に所属していた時に橋本先生が何気なく言われた「なんでもやってみたら、そこから得られるものがあるで」という言葉です。その言葉は私に、「何かを得よう」と必死に考えて行動すれば、そのうち必ず大きなものを掴み取るチャンスがやってくるという事を教えてくれました。奈良先端大は私達にその大切な「何か」を掴みとるチャンスを十二分に提供しサポートしてくれる大学院です。努力しチャレンジするには奈良先端大は本当に素晴らしい環境だと思います。
追記:
マイクロRNAが複雑な組織配置を決めることを解明!
宮島俊介さんが中心的に研究に携わった論文がDevelopment誌に掲載され、5月17日にプレスリリースが行われました。
【2011年05月掲載】