卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -
神内 悠里 さん
- クラシエ薬品株式会社
- 2007年度(修士) 形質発現植物学
植物がいかに形作られるか、そのメカニズムを探る楽しさに浸ることができました。
大学院進学の決め手は大阪で開催された奈良先端大の大学説明会でした。学部時代はストレス耐性植物の作出というテーマで研究を行っていましたが、形質発現植物学講座の研究紹介を聴講し、あっという間に植物の形態形成に惹きつけられてしまいました。奈良先端大に入学しラボに配属されて数ヶ月は、これまでと必要とする基 礎知識が異なりましたので研究室のレベルについていくのが必死だったのを覚えています。先生方や先輩方の熱心な教えのお陰により、植物がいかに形作られる か、そのメカニズムを探る楽しさに浸ることができました。
「いかに研究の面白さを伝えるか」。それは研究成果を出すこととは別の、この研究室でのもう一つの課題であったのではないかと私は感じています。社会人と なった今では毎日のように痛感していますが、どのような場面でも発表時にはストーリー性が重要視されます。そのような今だからこそ気づく事ですが、学生の 私に対して研究結果から一歩進んだ力を先生方は強く求め、鍛えて下さっていたのだと、感謝せずにはいられません。私が最初の研究紹介で惹きつけられたの も、同じように鍛えられた先輩によるプレゼン力が影響しているのかもしれません。
学生生活はとても良い思い出ばかりです。学内のイベントに力を入れすぎて、時には先生方に怒られたこともしばしばです。また学生寮は、研究で夜が遅い私に とってはとてもありがたい施設です。友人も多く住んでいたため、飽くことなく学生生活を送ることが出来ました。分野を超えて多くの友人と交流を持てるのも 奈良先端大の魅力ですね。このような経験は後にも先にも無いと感じています。もし皆さんが奈良先端大に入学されたのであれば、ぜひとも横の繋がりを大事に して欲しいと思います。社会に出ればきっとその大切さが分かると思います。
現在は医療用漢方メーカーで学術職に就いています。営業への情報提供や、臨床研究などに携わっています。植物一本で研究してきた私にとって、動物実験・薬 物動態・薬事法…と入社して数年たった今でも苦労の連続です。しかし、漢方薬の原料の多くは植物に由来するため、改めて植物の持つ効果や役割に魅せられる ことも少なくありません。学生時代のような研究をすることはありませんが、研究論文を読み、その内容を営業の方に教えるといったように学生時代に培った力 を活かせる職業でもあります。またこの職業は広い視野を持つことが求められますが、営業と研究を繋ぐ大変やりがいのある仕事です。奈良先端大で得た「研究 の楽しさ」「伝える力」「人との出会い」を忘れず、仕事をしていきたいと思います。
【2011年04月掲載】